「知らないこと」に対しては,不安感や疎外感をもちやすく,精神的に遠く感じがちですが,逆に環境や病気への情報が充分にあれば,なじみを感じたり,前向きに向かい合うことができやすくなります(58.プレパレ−ションも参照してください)。

 また,日々の楽しみにつながる情報が提示されていることは,毎日の変化を感じたり,楽しみをもって療養生活を送る手がかりになります。

 トップの写真は,病棟に掲示されている,手作りの病棟案内図です。日常の細やかなことを,わかりやすく伝えようという心遣いを,保護者やこどもたちは嬉しく思うのではないでしょうか。さらに,こどもにもわかって,自分で読むことができるようにひらがなで書いてあったり,ふりがながふられている,情報を見やすく並べるなどの工夫があると,情報提示としてはさらにわかりやすく,魅力的になるでしょう。

病気やその原因のことや,対処法などを説明したプリントが,いつでも取れる場所に置かれています。このような工夫は,病気に対する過度の恐怖を除いたり,適切な予防やケアを主体的に理解する手がかりになっています。近年設置が増えている,病気や薬,療養生活などの情報を集めた患者図書館(図書室,図書コーナー)などにも,同様の効果が期待できます。病気のことを患児本人や家族が知ることで,病気や怪我に立ち向かう前向きな姿勢を,一緒につくっていけることが報告されています。

 

こちらの病院では,廊下に掲示のコーナーがつくられており,院内のイベントのお知らせなどがきれいに提示されています。廊下などの壁に直接セロテープなどで掲示物を貼っているケースも見られますが,しばしば,テープ跡が残ったりして美的には問題があることもあるようです。掲示のコーナーを決めておくことで,掲示物を誘導でき,環境を美しく保つことができます。

 

 

情緒の安定
1.アプローチの期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.気分転換ができる
4.小さな居場所
5.生活やくつろぎの雰囲気
6.治療・検査時の心的負担の軽減
豊かな感性
7.「触」覚のある環境
8.遊びのなかの触覚
9.全身で感じる遊び
10.においの体験
11.風と気づき
12.光の体験
13.日常的に美に触れる
豊かな心情
14.「演じ」て理解する
15.表現する−音楽
16.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
20.自然に親しむ
21.季節を感じ,楽しむ
22.命を感じ,親しむ
創造性の芽生え
14.「演じ」て理解する
15.表現する−音楽
16.表現する−絵画,造形
17.物語が編み込まれた環境
18.遊び込める仕掛け
19.見立てを誘う環境
豊かな言葉
36.文字や数字がある環境
37.知識や物語の泉に触れる
38.読み聞かせの演出
39.ショウ&テルの機会
思考力
31.伝統文化を遊ぶ
32.自国の文化を知り,親しむ
33.多様性を体感する
34.電子メディアとの適切な距離感
35.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
51.「基地」空間
52.アフォーダンスの演出
53.遊びの可視化
54.遊びの保存
55.片付けのための工夫
56.遊びの場の保障
57.集中して遊べる空間
58.プレパレーション
自立と自律
23.時間の可視化
24.日課の可視化
25.音で場面や行為を知る
26.流れをデザインする
27.「自分で」を支える
28.着脱の自立への配慮
29.排泄の自立への配慮
30.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
39.ショウ&テルの機会
40.仲間の共有
41.保育単位の連携と柔軟性
42.交流の拡がりを誘う空間
43.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
43.育ち合いの仕組み
47.命の祝福
48.自己の成長の確認
49.生活の振り返りの機会
50.作品の展示
他者大切にする心
協調性
 
44.協働の達成感と喜び
45.集団活動の機会
46.集団のなかでの個の尊重
空間把握と身体の把握
59.拡がりのある空間の体験
60.立体的な空間の体験
61.俯瞰する体験
62.安全と危険の感覚
身体の発達
63.歩行や立ち上がりを誘う設え
64.身体を動かす仕掛け
65.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
66.調理との関わり
67.食べ物を知る
68.食べ物を育てる体験
 
家庭地域との連携
69.地域の文化と伝統に親しむ
70.地域との連携
71.時間の共有
72.情報を伝える仕掛け
73.スタッフとこどもや家族との関係を  つくる仕掛け
74.家族とつくる環境
75.家族と家族の活動の支援
76.家族同士の関係をつくる仕掛け