プレイルームなどで,「いまこどもたちに読んで欲しい本」「関心をもつだろう本」を選んで,表紙が見えるように飾ることがよくあります。表紙が見えるとやはりこどもは興味をそそられますし,本を読むことを誘うセッティングとして,とても有効です。
(富山大学附属病院)
絵本の表紙が見えやすいように掲示する棚をつくっています。その場に座り込んで読むことができる場があり(床に座り込む,ベンチや椅子に腰掛ける),本を読む「場」が成立しています。
一方で,本屋さんや図書館などでたくさんの本を見ると,こどもたちは圧倒され,興奮しながら次々と本を手に取っていきます。これはという一冊を見て,それに触れることに加えて,世界にはたくさんの知識や物語があふれていることをヴィジュアルとして見て,その実感を得ることは,「見たい,知りたい」という欲求を直接的に刺激し,憧れや意欲の醸成につながっていきます。
このような知識や物語への憧れや意欲は,創造性や思考力,豊かな感性や心情として結実していきます。先人たちや大人たち,ときには(かつての)同世代のこどもたちが自分に語りかけてくること,たくさんの「他者」がいることを意識することで,他者への気持ちや人に対する愛情など,関わる力を育てもするでしょう。
こども病院の患者さんのための図書館にある,絵本に囲まれた小部屋です。外の世界から切り離されて,しばしその世界に没頭することや,小人数で守られた感覚の中で過ごすことができます。
「物語」として描かれた内容によって,自分の置かれた状況を客観的に眺めたり,理解ができることがあります([14.「演じ」て理解する][17.物語が編み込まれた環境])。命や,生と死,病気になるということなどを扱った本を病棟などでもつ場合には,こどもやご家族の状況に合わせて(不用意な衝撃とならないように),保育士が管理し通常は出しておかないなどの配慮をするケースもあります。環境づくりとしては,季節やこうしたこどもの状況等に応じて本の入れ替えができるよう,オモテとウラ(バックヤード)をもつことが必要だと言えます。
心 | |
情緒の安定 | |
1.アプローチの期待感 | |
2.気持ちの切り替え空間 | |
3.気分転換ができる | |
4.小さな居場所 | |
5.生活やくつろぎの雰囲気 | |
6.治療・検査時の心的負担の軽減 | |
豊かな感性 | |
7.「触」覚のある環境 | |
8.遊びのなかの触覚 | |
9.全身で感じる遊び | |
10.においの体験 | |
11.風と気づき | |
12.光の体験 | |
13.日常的に美に触れる | |
豊かな心情 | |
14.「演じ」て理解する | |
15.表現する−音楽 | |
16.表現する−絵画,造形 | |
自然と生命への 畏敬と愛情 |
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20.自然に親しむ | |
21.季節を感じ,楽しむ | |
22.命を感じ,親しむ | |
知 | |
創造性の芽生え | |
14.「演じ」て理解する | |
15.表現する−音楽 | |
16.表現する−絵画,造形 | |
17.物語が編み込まれた環境 | |
18.遊び込める仕掛け | |
19.見立てを誘う環境 | |
豊かな言葉 | |
36.文字や数字がある環境 | |
37.知識や物語の泉に触れる | |
38.読み聞かせの演出 | |
39.ショウ&テルの機会 | |
思考力 | |
31.伝統文化を遊ぶ | |
32.自国の文化を知り,親しむ | |
33.多様性を体感する | |
34.電子メディアとの適切な距離感 | |
35.「不思議」,科学の目の芽生え | |
自主性・主体性・意欲 | |
51.「基地」空間 | |
52.アフォーダンスの演出 | |
53.遊びの可視化 | |
54.遊びの保存 | |
55.片付けのための工夫 | |
56.遊びの場の保障 | |
57.集中して遊べる空間 | |
58.プレパレーション | |
自立と自律 | |
23.時間の可視化 | |
24.日課の可視化 | |
25.音で場面や行為を知る | |
26.流れをデザインする | |
27.「自分で」を支える | |
28.着脱の自立への配慮 | |
29.排泄の自立への配慮 | |
30.身近な手洗い場 | |
関わる | |
喜んで話したり 聞いたりする態度 |
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39.ショウ&テルの機会 | |
40.仲間の共有 | |
41.保育単位の連携と柔軟性 | |
42.交流の拡がりを誘う空間 | |
43.育ち合いの仕組み | |
人に対する愛情と信頼感 | |
43.育ち合いの仕組み | |
47.命の祝福 | |
48.自己の成長の確認 | |
49.生活の振り返りの機会 | |
50.作品の展示 | |
他者を大切にする心 協調性 |
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