治療に向かうこども達が,治療への不安感や恐怖心から気持ちの切り替えがうまくいかずに機嫌が悪くなってしまうシーンはみられます。病棟など療養環境へのなじみやすさは,[5.生活やくつろぎの雰囲気]や[45.集団活動の機会]などによる人間関係の構築などによってサポートできますが,日々の気持ちの切り替えにさらに配慮があると,こどもたちの前向きな気持ちを引き出すことができます。
トップの写真はある小児病棟のプレイルームですが,この小児病棟では,治療の前後にプレイルームでの遊びの時間をとっています。「プレイルームで遊んでから,治療に行こう」と,病室からのワンクッションを設け,治療中には「がんばったら,またプレイルームで遊ぼうね」などの声かけをする,というように,環境を利用して心理的なクッションや目標を設けることで,こどもたちが自発的に治療に向かうことを支援しています。
検査室や処置室に向かうスペースの演出なども,[1アプローチの期待感]とも関連して,気持ちの切り替えのための設えといえます。このような切り替えの空間がもてない場合でも,シーンが変わる場面では,ちょっとしたベンチや窓(「赤い車が三台来たら,治療に行こうか」などの自発的な切り替えづくりの素材にできます)のひとつなど,ほんの少しでもこどもがひとりまたは保護者や保育者と一緒に,などの小人数で気持ちの切り替えをできる場所をとれないでしょうか。
自分で自分の気持ちを整理できる場所があることは,こどもの心を落ち着かせてくれます。怖いことは怖い,辛いことは辛いと感じることをそのまま認めることは,感性を尊重することでもあります。
また,もやもやした気持ちがあるときにはそのもやもやと自分自身が向かい合っていくことで,自分の気持ちを自分自身がきちんと把握する力や,ストレスへの耐性を高めていけるでしょう。
心 | |
情緒の安定 | |
1.アプローチの期待感 | |
2.気持ちの切り替え空間 | |
3.気分転換ができる | |
4.小さな居場所 | |
5.生活やくつろぎの雰囲気 | |
6.治療・検査時の心的負担の軽減 | |
豊かな感性 | |
7.「触」覚のある環境 | |
8.遊びのなかの触覚 | |
9.全身で感じる遊び | |
10.においの体験 | |
11.風と気づき | |
12.光の体験 | |
13.日常的に美に触れる | |
豊かな心情 | |
14.「演じ」て理解する | |
15.表現する−音楽 | |
16.表現する−絵画,造形 | |
自然と生命への 畏敬と愛情 |
|
20.自然に親しむ | |
21.季節を感じ,楽しむ | |
22.命を感じ,親しむ | |
知 | |
創造性の芽生え | |
14.「演じ」て理解する | |
15.表現する−音楽 | |
16.表現する−絵画,造形 | |
17.物語が編み込まれた環境 | |
18.遊び込める仕掛け | |
19.見立てを誘う環境 | |
豊かな言葉 | |
36.文字や数字がある環境 | |
37.知識や物語の泉に触れる | |
38.読み聞かせの演出 | |
39.ショウ&テルの機会 | |
思考力 | |
31.伝統文化を遊ぶ | |
32.自国の文化を知り,親しむ | |
33.多様性を体感する | |
34.電子メディアとの適切な距離感 | |
35.「不思議」,科学の目の芽生え | |
自主性・主体性・意欲 | |
51.「基地」空間 | |
52.アフォーダンスの演出 | |
53.遊びの可視化 | |
54.遊びの保存 | |
55.片付けのための工夫 | |
56.遊びの場の保障 | |
57.集中して遊べる空間 | |
58.プレパレーション | |
自立と自律 | |
23.時間の可視化 | |
24.日課の可視化 | |
25.音で場面や行為を知る | |
26.流れをデザインする | |
27.「自分で」を支える | |
28.着脱の自立への配慮 | |
29.排泄の自立への配慮 | |
30.身近な手洗い場 | |
関わる | |
喜んで話したり 聞いたりする態度 |
|
39.ショウ&テルの機会 | |
40.仲間の共有 | |
41.保育単位の連携と柔軟性 | |
42.交流の拡がりを誘う空間 | |
43.育ち合いの仕組み | |
人に対する愛情と信頼感 | |
43.育ち合いの仕組み | |
47.命の祝福 | |
48.自己の成長の確認 | |
49.生活の振り返りの機会 | |
50.作品の展示 | |
他者を大切にする心 協調性 |
|