音楽は、音やメロディ、リズムを通して身体能力や感性を育てます。また、音楽は表現のひとつのかたちでもあります。日々のさまざまな思いを,絵画や制作,音楽,演技,お話などによって表現することは,ストレス下にあるこどもたちの成長や生活の観点からとても大切なことです。音楽を通して表現をしたり、それを聞くことは、こどもの情緒を安定させたり、どのように音を紡ぐかといった考えを助けることもあるでしょう。また,音楽を通して生活に楽しみを得ることができるでしょう。
音楽が治療の一環に用いられる場合もあります(音楽療法)。音楽療法では,楽器の演奏や,歌を唄うこと,音楽に合わせて身体を動かすこと(リトミック)などを通して,こどもたちの心身の健康の回復やストレスの発散をはかる事を目的としています。
プレイルームに,電子ピアノ(キーボード)やドラムを置いており,こどもたちが気軽に音楽にふれあう機会を設けている例などがあります。また,病院付属の教会など「特別な場所」で,オルガンに触らせてもらうことが楽しみ,というこどもの話も伺います。小児病棟などでは小さなこどもさんから,高校生,ときには成人(キャリーオーバー)の患者さんと,幅広い年齢層の方が療養していることがあります。ピアノやドラムなどは,特に小学校の高学年以上のお子さんで,自分の思いをなにかで発散させたり,表現したいと思われる患者さんにしばしば使われていました。
(富山大学附属病院)
この病棟では,プレイルームに音楽プレーヤーを置いています。ゆったりとした曲や,楽しげな曲など,遊びやくつろぎなど滞在のシーンに合わせて音楽を流すことで,楽しい気持ちになったり,リラックスして活動することができるよう配慮されています。
トップの写真は保育施設の事例ですが,こちらには音楽遊びのゾーンが作られており、こどもたちが楽器を見えるように楽器が並んで片付けられています。こどもたちに音楽の道具が「見える」ことで,触りたい,音を出して遊びたいという意欲をかき立てています([53.遊びの可視化])。
心 | |
情緒の安定 | |
1.アプローチの期待感 | |
2.気持ちの切り替え空間 | |
3.気分転換ができる | |
4.小さな居場所 | |
5.生活やくつろぎの雰囲気 | |
6.治療・検査時の心的負担の軽減 | |
豊かな感性 | |
7.「触」覚のある環境 | |
8.遊びのなかの触覚 | |
9.全身で感じる遊び | |
10.においの体験 | |
11.風と気づき | |
12.光の体験 | |
13.日常的に美に触れる | |
豊かな心情 | |
14.「演じ」て理解する | |
15.表現する−音楽 | |
16.表現する−絵画,造形 | |
自然と生命への 畏敬と愛情 |
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20.自然に親しむ | |
21.季節を感じ,楽しむ | |
22.命を感じ,親しむ | |
知 | |
創造性の芽生え | |
14.「演じ」て理解する | |
15.表現する−音楽 | |
16.表現する−絵画,造形 | |
17.物語が編み込まれた環境 | |
18.遊び込める仕掛け | |
19.見立てを誘う環境 | |
豊かな言葉 | |
36.文字や数字がある環境 | |
37.知識や物語の泉に触れる | |
38.読み聞かせの演出 | |
39.ショウ&テルの機会 | |
思考力 | |
31.伝統文化を遊ぶ | |
32.自国の文化を知り,親しむ | |
33.多様性を体感する | |
34.電子メディアとの適切な距離感 | |
35.「不思議」,科学の目の芽生え | |
自主性・主体性・意欲 | |
51.「基地」空間 | |
52.アフォーダンスの演出 | |
53.遊びの可視化 | |
54.遊びの保存 | |
55.片付けのための工夫 | |
56.遊びの場の保障 | |
57.集中して遊べる空間 | |
58.プレパレーション | |
自立と自律 | |
23.時間の可視化 | |
24.日課の可視化 | |
25.音で場面や行為を知る | |
26.流れをデザインする | |
27.「自分で」を支える | |
28.着脱の自立への配慮 | |
29.排泄の自立への配慮 | |
30.身近な手洗い場 | |
関わる | |
喜んで話したり 聞いたりする態度 |
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39.ショウ&テルの機会 | |
40.仲間の共有 | |
41.保育単位の連携と柔軟性 | |
42.交流の拡がりを誘う空間 | |
43.育ち合いの仕組み | |
人に対する愛情と信頼感 | |
43.育ち合いの仕組み | |
47.命の祝福 | |
48.自己の成長の確認 | |
49.生活の振り返りの機会 | |
50.作品の展示 | |
他者を大切にする心 協調性 |
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