自分たちが食べているものがどこから来ているのか,どのように作られているのかを知ることやそれらに興味や関心をもつことは,食育の大きな柱のひとつです。食材をつくっている人がいること,心を込めて作られていることを知ることで育つ,食材や食材をつくってくれる人,運んでくれる人への感謝の気持ちは,豊かな感性や心情へと結びついていくでしょう。また,動植物が食材になっていく過程を知ることは,自然や生命への畏怖や愛情を育てるでしょう。

 トップの写真は,廊下の掲示版に掲示された献立表です。献立を日常的に目にする環境が,自分たちの食事に対しての興味や関心を持つきっかけになっています。食事のメニュー(の一部)を自分で選べる病院もあります。このような,主体的な関わりは食への関心を引き出すでしょう。

調理活動(64.調理との関わり])の「成果物」を他のこどもや家族らと一緒に食べることは,こどもたちにとって嬉しい,また誇らしいできごとです。スタッフを招いてふるまえば,普段お世話をされていることに対して「お世話をする」側になるという主体性や優位性を感じる心理にもつながります(13.「演じ」て理解する])。

 これは保育施設の写真ですが,毎日の給食の献立と食事見本とともに,その日の食材の産地と育てた人を紹介しています。この日の食材の産地は「千葉県」「長野県」「長崎県」。「長崎って,どこにあるの?」そんな会話を通して,日本(ときには海外)の地名や地理の勉強にもつながっていくかもしれません。

a
これも保育施設での写真ですが,こちらの園では,食材の栄養素について,遊びながら学べる仕掛けをつくっています。三色栄養素表(炭水化物:エネルギーのもとになる,たんぱく質:身体をつくる,野菜など:身体の調子を整える)に沿って,食材カードを分けてみる,という遊びです。幼少期から食べ物の役割を理解して,自分で考えながら食事をとることができる態度を育てようという,価値のある取り組みです。

 

情緒の安定
1.登園時の期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.小さな居場所
4.くつろいだ雰囲気
5.延長保育スペースでの配慮
豊かな感性
6.「触」覚のある環境
7.遊びのなかの触覚
8.全身で感じる遊び
9.においの体験
10.風と気づき
11.光の体験
12.日常的に美に触れる
豊かな心情
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
19.自然に親しむ
20.季節を感じ,楽しむ
21.命を感じ,親しむ
 
創造性の芽生え
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
16.物語が編み込まれた環境
17.遊び込める仕掛け
18.見立てを誘う環境
豊かな言葉
35.文字や数字がある環境
36.知識や物語の泉に触れる
37.読み聞かせの演出
38.ショウ&テルの機会
思考力
30.伝統文化を遊ぶ
31.自国の文化を知り,親しむ
32.多様性を体感する
33.電子メディアとの適切な距離感
34.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
50.「基地」空間
51.アフォーダンスの演出
52.遊びの可視化
53.遊びの保存
54.片付けのための工夫
55.遊びの場の保障
56.集中して遊べる空間
自立と自律
22.時間の可視化
23.日課の可視化
24.音で場面や行為を知る
25.流れをデザインする
26.「自分で」を支える
27.着脱の自立への配慮
28.排泄の自立への配慮
29.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
38.ショウ&テルの機会
39.仲間の共有
40.保育単位の連携と柔軟性
41.交流の拡がりを誘う空間
42.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
42.育ち合いの仕組み
46.命の祝福
47.自己の成長の確認
48.生活の振り返りの機会
49.作品の展示
他者大切にする心
協調性
 
43.協働の達成感と喜び
44.集団活動の機会
45.集団のなかでの個の尊重
 
空間把握と身体の把握
57.拡がりのある空間の体験
58.立体的な空間の体験
59.俯瞰する体験
60.安全と危険の感覚
しなやかで健康な身体
61.日常的に身体を動かせる
乳児の環境
62.全身を使って遊べる幼児の環境
63.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
64.調理との関わり
65.食べ物を知る
66.食べ物を育てる体験
 
家庭地域との連携
67.地域の文化と伝統に親しむ
68.地域との関係をつくる
69.保育の時間の共有
70.保護者とつくる環境
71.保護者の活動支援
72.保護者同士の関係をつくる