触覚は,皮膚の感覚であると同時に,身体を動かしたときの環境の応答や,風などの環境の動き,つまり身体と環境の関係を身体全体で感じる感覚でもあります。触覚がない状況を想像してみてください。衣服などで身体が守られていること,大切に抱きしめられていること,しっかりと大地に立っていること,椅子が身体を支えてくれていること,こうした感覚の全てがない状況です。動物である限り,人間はそのような状況にはとても耐えられないでしょう。触覚は,生き物が「ここ」にいることを体感する最も基本的な感覚です。 

 [5.生活やくつろぎの雰囲気]のように,ファブリック(布系の素材)を採り入れると,環境にあたたかさや柔らかさを演出できます。

 トップの写真は、プレイルームに置かれた大人のサイズのソファに家族が座り,車いすに座った患児と向かい合っている様子です。「布の質感の家具などは病棟にはなかったので,ほっとくつろげる」といった声が聞かれました。

 多様な「触」感覚は,足元からも得られます。[75.自国の文化を知り,親しむ]でも紹介しているように畳を採り入れ素足で過ごせる空間をつくるなどはそのひとつです。また,絨毯,フローリング,タイルなど室内でもさまざまな仕上げ素材を選んだり,部分的に使用することができます(一時的に絨毯を敷くなど)。足もとの感触が異なると,寝転がったり,身体を動かしてみたり,こどもの活動が違ってきます.足もとから多様な場所を用意することで,それぞれの場所性やそこでの過ごし方の違いを演出できます。

畳のゾーンの上に,玩具のシートを敷いて遊んでいます。つるつるとした感触で,他の場所の感触とも違うものです。感触の違う仕上げ素材は,その場所が他とは違うという感覚,「場所性」をもたらします。

 

心
情緒の安定
1.アプローチの期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.気分転換ができる
4.小さな居場所
5.生活やくつろぎの雰囲気
6.治療・検査時の心的負担の軽減
豊かな感性
7.「触」覚のある環境
8.遊びのなかの触覚
9.全身で感じる遊び
10.においの体験
11.風と気づき
12.光の体験
13.日常的に美に触れる
豊かな心情
14.「演じ」て理解する
15.表現する−音楽
16.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
20.自然に親しむ
21.季節を感じ,楽しむ
22.命を感じ,親しむ
知
創造性の芽生え
14.「演じ」て理解する
15.表現する−音楽
16.表現する−絵画,造形
17.物語が編み込まれた環境
18.遊び込める仕掛け
19.見立てを誘う環境
豊かな言葉
36.文字や数字がある環境
37.知識や物語の泉に触れる
38.読み聞かせの演出
39.ショウ&テルの機会
思考力
31.伝統文化を遊ぶ
32.自国の文化を知り,親しむ
33.多様性を体感する
34.電子メディアとの適切な距離感
35.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
51.「基地」空間
52.アフォーダンスの演出
53.遊びの可視化
54.遊びの保存
55.片付けのための工夫
56.遊びの場の保障
57.集中して遊べる空間
58.プレパレーション
自立と自律
23.時間の可視化
24.日課の可視化
25.音で場面や行為を知る
26.流れをデザインする
27.「自分で」を支える
28.着脱の自立への配慮
29.排泄の自立への配慮
30.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
39.ショウ&テルの機会
40.仲間の共有
41.保育単位の連携と柔軟性
42.交流の拡がりを誘う空間
43.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
43.育ち合いの仕組み
47.命の祝福
48.自己の成長の確認
49.生活の振り返りの機会
50.作品の展示
他者を大切にする心
協調性
 
44.協働の達成感と喜び
45.集団活動の機会
46.集団のなかでの個の尊重
体
空間把握と身体の把握
59.拡がりのある空間の体験
60.立体的な空間の体験
61.俯瞰する体験
62.安全と危険の感覚
身体の発達
63.歩行や立ち上がりを誘う設え
64.身体を動かす仕掛け
65.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
66.調理との関わり
67.食べ物を知る
68.食べ物を育てる体験
 
家庭や地域との連携
69.地域の文化と伝統に親しむ
70.地域との連携
71.時間の共有
72.情報を伝える仕掛け
73.スタッフとこどもや家族との関係を  つくる仕掛け
74.家族とつくる環境
75.家族と家族の活動の支援
76.家族同士の関係をつくる仕掛け