大人が当たり前と感じることが,こどもたちの目には「不思議」に映ることがあります。それはある種の新鮮な感動です。雨上がりに空に虹が架かること,夕日がオレンジ色に輝くこと,夜に室内から窓を眺めると鏡のように自分の顔が映ること,濡れた道路は黒っぽいのに乾くと白っぽくなること,海にはいろいろな色があること,冬には日暮れが早くなること。大人の目からも不思議に思えることもあるでしょう。
こうした「不思議」を感じることやそれを他者と共有することはこどもたちの感性を育て,そこに物語を見いだす想像力を育みます。レイチェル・カーソンはこの,世界の不思議を感じられる感性を「センス・オブ・ワンダー」と呼び,これはこどもの時期にこそ特に伸ばせる感覚であるとともに,世界を楽しみ豊かな人生を送るための土壌となると述べています。
さらに,なぜそのような現象が起こるのかを考えることは,科学的な思考や知識の土壌になります。たくさんの不思議を感じ,その理由を考える習慣があるこどもにとっては,日々の生活そのものが理科の学習機会になっていると言えるでしょう。こどもたちが見つける「不思議」に共感し,年齢に応じて適切な物語や現象の理由を伝えることはこどもたちの知と心を育てます。また,大人の目から「これは不思議だね?」と語りかけて気づきを助けることも大切なサポートでしょう。

 手を使い,身体の動きと心の動きを重ね合わせる中で,さまざまな不思議を感じ,体験する。大人が一緒にその驚きや感動を促したり,言葉に置き換えたりする関わりを通して,その体験は強化されていく。

 

情緒の安定
1.アプローチの期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.気分転換ができる
4.小さな居場所
5.生活やくつろぎの雰囲気
6.治療・検査時の心的負担の軽減
豊かな感性
7.「触」覚のある環境
8.遊びのなかの触覚
9.全身で感じる遊び
10.においの体験
11.風と気づき
12.光の体験
13.日常的に美に触れる
豊かな心情
14.「演じ」て理解する
15.表現する−音楽
16.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
20.自然に親しむ
21.季節を感じ,楽しむ
22.命を感じ,親しむ
創造性の芽生え
14.「演じ」て理解する
15.表現する−音楽
16.表現する−絵画,造形
17.物語が編み込まれた環境
18.遊び込める仕掛け
19.見立てを誘う環境
豊かな言葉
36.文字や数字がある環境
37.知識や物語の泉に触れる
38.読み聞かせの演出
39.ショウ&テルの機会
思考力
31.伝統文化を遊ぶ
32.自国の文化を知り,親しむ
33.多様性を体感する
34.電子メディアとの適切な距離感
35.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
51.「基地」空間
52.アフォーダンスの演出
53.遊びの可視化
54.遊びの保存
55.片付けのための工夫
56.遊びの場の保障
57.集中して遊べる空間
58.プレパレーション
自立と自律
23.時間の可視化
24.日課の可視化
25.音で場面や行為を知る
26.流れをデザインする
27.「自分で」を支える
28.着脱の自立への配慮
29.排泄の自立への配慮
30.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
39.ショウ&テルの機会
40.仲間の共有
41.保育単位の連携と柔軟性
42.交流の拡がりを誘う空間
43.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
43.育ち合いの仕組み
47.命の祝福
48.自己の成長の確認
49.生活の振り返りの機会
50.作品の展示
他者大切にする心
協調性
 
44.協働の達成感と喜び
45.集団活動の機会
46.集団のなかでの個の尊重
空間把握と身体の把握
59.拡がりのある空間の体験
60.立体的な空間の体験
61.俯瞰する体験
62.安全と危険の感覚
身体の発達
63.歩行や立ち上がりを誘う設え
64.身体を動かす仕掛け
65.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
66.調理との関わり
67.食べ物を知る
68.食べ物を育てる体験
 
家庭地域との連携
69.地域の文化と伝統に親しむ
70.地域との連携
71.時間の共有
72.情報を伝える仕掛け
73.スタッフとこどもや家族との関係を  つくる仕掛け
74.家族とつくる環境
75.家族と家族の活動の支援
76.家族同士の関係をつくる仕掛け