72.保護者同士の関係をつくる
保護者同士の関係ができることで,保護者の子育てへの負担感を和らげたり,安心感を得たりするなどの影響が期待できます。こどもにとっても,保護者とともに他の大人と関わることは,他者との関わりの態度や豊かな言葉が育つ契機となるでしょうし,大人同士が良好な関係を築いている環境は情緒の安定にもつながるでしょう。
[70.保護者とつくる環境]や[71.保護者の活動支援]も,保護者同士の関係をつくるきっかけになります。日常的には,保護者同士がお互いを「知る」ことが,関係づくりの第一歩となります。例えば,[39.仲間の共有]でもご紹介しているように,保護者が他のこどもやその保護者の顔や名前を知ることは会話などの関わりのきっかけとなります。園に保護者がたまれる空間や,保護者とこどもが一緒に楽しむイベントなどがあることも保護者同士の関係をつくります。
何ヶ月も準備するような,大きなバザーを催したりする園もありますが,ごく簡易的にでもこうした機会を設けている園もあります。
この保育所では,夏祭り(夕涼み会)に,すべての保護者が何らかの形でかかわるように設定しています。各ご家庭のお仕事などの事情に合わせて,保護者は準備や当日の飾り付け,受付や売り子などの役割を分担します。
2人の保護者が,30分ほどの作業で,ポスターや装飾をつくったクラスです。朝夕の送迎の時間帯にほんの少し顔を合わせるだけ,という保護者が多い保育所であればこそ,こうした機会がとても大切にされ,ちょっとした負担で参加できる配慮がなされています。
この保育所では,玄関にソファセットが置かれています。ちょっとした来客への対応の場としても使われますが,保護者が送迎時にこどもの用意ができるまでの数分間,お話をされたりといった,たまりの場ともなっています。