41.交流の拡がりを誘う空間

([㊵保育単位の連携])にも関連しますが,異なる保育集団や,特に異年齢のこどもたちの自然な交流が起こることは,こどもたちの世界を拡げます。同年齢で複数のクラスがある場合には,こどもたちどうしのグループ形成の可能性が広がります。低年齢児は,お兄さん・お姉さんの遊ぶ様子や活動に打ち込む様子を見て,興味関心を拡げて成長や挑戦への意欲をもつでしょう。年上のこどもと関わることを畏れず,楽しむ態度にもつながるでしょう。年長のこどもにとっては,自分たちよりも小さなこどもたちと一緒に居ることで自らの成長を誇るとともに役割意識をもって責任を果たしたり,規範となろうとする意識をもったりといった効果を期待できます。このような意識が育つことは,将来社会で求められる,リーダーシップにつながっていきます。
交流の拡がりは,行事や保育内容などで演出することもできますが,より日常的には,場所と時間を共有できることによって自然なかたちで誘うことができます。

写真の園では,保育室の外部にぐるりとテラスがまわっており,半屋外の空間が保育室の園長として遊び場所になっています。このような場所に,各保育室(保育集団)から遊びがしみ出してくることで,異なる保育集団の自然な交流が起きています。また遊び場所の移動の最中に,他のクラスの様子が見えることも刺激になります。

この園では,自然の地形を利用して,園全体が段差のある空間構成なのですが,その段差を活かして階段と滑り台が広縁に設けられています。この広縁は保育室をつないでおり,この場所がこどもたちが保育集団を超えて遊んだり,溜まったりする場所になっています。