69.保育の時間の共有

こどもは,今日という日をどのように過ごしたのでしょうか。誰と関わり、どのような体験をして、何を感じ、それがどのような発話となって現れてくるのでしょうか。
保育の時間を保育者と家庭で共有することは、こどもの体験や成長・発達を統合的に捉えることにつながります。こどもがふとした時に発する一言、それが何を意味することか、どのような背景から生じた一言かを理解して接することで、こどもの成長・発達を全面的に受け止めることができます。
また情報共有は家庭での会話の端緒ともなり、その積み重ねは体験や感情を言語化することの訓練にもつながります。言語化は記憶を強化するため、望ましい行為や発話の学習効果も期待できます。

■ 保育内容の伝達

その日にあったことを保護者に伝えるコーナーを設けている園は多くあります。クラスの入口に掲示版を設けたり、園の入口にスケッチブックを置く、写真を掲示するなど、いろいろな工夫が見られます。こうした情報提供によって保育内容を共有することで、家庭と保育者が連携してこどもの育ちを支え、またこどもの気持ちを受け止める土壌をつくっていきます。
伝達コーナーは、各クラスに置く場合も多いのですが、この場合はそのクラスの保護者しか目にしません。全クラスの保育内容を一括して展示すると、他のクラスの保育の様子を情報として保護者に提供できます。例えば2歳児の保護者が、「3歳になったら、こういう活動をするのだな」といった情報を得られます。子育てにおいて、見通しが立つことは気持ちを楽にしますし、保育への協力も得られやすくなるでしょう。

こちらの園では,玄関ホールが情報伝達の場として位置づけられています。

こちらの園では,こどもたちや保護者が普段通る廊下に、日々の保育の様子を1年間の保育の流れに沿って掲示しています。保護者にとっては,こどもたちの成長の見通しとともに,1年の保育の流れの見通しもわかる仕掛けとなっています。

保育内容の伝達方法にはほかに,インターネットや園内PCなどでの写真や動画の掲載,(写真付き)メール,連絡帳や園だよりなどの例があります。[39.仲間の共有]もご参照ください。