54.片付けのための工夫
声かけだけ,または声かけがなくともじぶんたちで片付けができるようになることは,こどもたちの成長過程のなかでとても大切です。
いちいち,どこに,なにを,どのように,片付ければよいかを保育者に確かめることなく,自分で片付けていける環境づくりがなされていれば,こどもたちはより自主的に片付けをすることができるでしょう。何でも自分でできること,できると思うことは自信や,自己肯定感につながります。またいま自分がなにをすればよいかを環境を手がかりに自分で考え,判断していく経験は,思考力や,自立と自律の精神を育てます。
園やご家庭ごとに,様々な工夫の例があります。いくつかの例をご紹介します。
制作のゾーンで,マジックを色ごとに整理することに決めている園の,整理カートの写真です。色ごとにテープが貼られたペン立てが用意されており,こどもたちが色合わせのゲーム感覚でペンを片付けることができます。
カラフルなテープケースです。どこに,どのようにテープをしまえばいいか,一目でわかります。このようにしか置けないという制限を加えることで,迷うことなく片付けができます。
何を入れる場所か,写真と文字で指示がされたケースです。イラストと文字で示す園もあります。
イラストの場合には,情報を誇張したり省略したりが容易なため,「重ねて入れる」など,なにをしまうかだけでなく,どのようにしまって欲しいかをわかりやすく指示しやすいという特徴があります。
こちらでは,何色の玩具が,いくつあるか,がイラストと文字で示されています。足りない玩具がすぐにわかりますし,こどもたちにとって日常的に数や文字に触れる機会ともなっています([35.文字や数字がある環境]も参照してください)。