18.見立てを誘う環境
*園のご要望により、加工しない写真を掲載しています。
玩具や遊具を他のものとして扱う「見立て」は,こどもにしばしば見られる行動です。見立て遊びのなかで,創造性や思考力,自主性が鍛えられていきます。また「見立て」は多くの場合,自分のなかだけでの見立てではなく他者と共有されることを前提とした行為です。例えば砂山をケーキに見立てて人に勧めるなど,ままごと遊びも見立ての要素を多分に含んでいます。こうした個々人の思考の共有は,他者理解や協調性に結びついていきます。
この写真では,椅子やテーブルを組み合わせて,バスに見立てて遊んでいます。動かしやすく,シンプルな形状であることが見立てを誘っています。
写真は,木製の遊具をバスに見立てて遊ぶこどもです。
機能を縛りすぎない遊具や,シンプルな遊具や玩具は,さまざまな見立てを誘います。例えば「トマト」の色や形を忠実に表したしたままごとの用の玩具はトマトとしてしか扱われませんが,手の平にのる大きさの「ボール」は,ミカンやリンゴ,トマト,など似た形をもつさまざまなものに見立てられます。
さらに彼らが共有できる物語をもっていれば[16.物語が編み込まれた環境],[36.知識や物語の泉に触れる],この遊具は空を駆ける竜やペガサスになるかもしれません。見立てを誘う環境は,想像力を刺激する物語世界によっても支えられます。
「遊具」としてだけではなく,場としての見立ても見られます。写真は,遊具とは呼びにくい,段差のあるウッドデッキです。このウッドデッキでは,いつも複数のグループのこどもたちがそれぞれここをいろいろな場所に見立てて,ごっこ遊びをしています。段差(適度な高低差)があることで,飛び降りる,よじ登る,隠れるなどのこどもたちのさまざまな行為が誘われることや,適度な広さであることで,その場所が周囲の場所とは異なる特別な場所として,こどもたちの遊びを誘発しています。