17.遊び込める仕掛け

こどもたちが集中して遊び込む中で,創造性や思考力,自主性や感性が鍛えられていきます。自分の作品や遊びを大切に思う気持ちは,他者にもそうした思いがあることを気づかせ,他者理解にもつながります。もちろん,他のこどもや保育者と一緒に大きな作品や世界観を作り出していく中でも協調性が育っていきます。

こどもが遊び込めるための仕掛けとして,この園では保育室の中を家具で分割して遊びの種類ごとにゾーンをつくっています。関連する玩具が周囲に置かれ,遊びが自然に発展していく仕掛けになっています。遊びのゾーンが確保されており自由遊びの時間の終わりごとに片付けをしなくて良いので大きな作品を協力して作れ,他の遊びと共存したり,連携した遊びが展開したりといったメリットもあります。

作り込まれたままごと・お世話遊びのゾーンの例です。立体遊具を保育室内に置いており,その下部も使われています。小さな空間で他のゾーンと視覚的に離れていることで,じっくり遊び込むことができます。

園庭遊びの際にさまざまな動かせる遊具(ブロックやビールケース,マット,ござなど)を出すことができます。こどもたちは遊びながら配置を換えたり,組み立てをしたりして夢中になって遊びます。こどもたちが自分の力で動かせる遊具があり,自分たちの世界を作れることが,遊びこむことを支えます。

ソフト面での工夫として,遊びの継続を示す「遊び札」を遊びの中断時にこどもが個々でその場所に掲げることで,保育時間の区切りがこどもの遊びの区切りにならない仕組みとしている園もあります。