11.光の体験
光の色や強さ,角度などによって,ものの見え方は大きく異なります。また,明るく活発な場所,静謐な場所,穏やかな場所など,光の使い方によって場の雰囲気をつくることができます。
光の演出によって,こどもたちの情緒を安定させたり,こどもが光の多様性に気づき,感性や創造力を伸ばすことを助けることができます。
左の写真では,階段下の空間に花を活けて布を飾っている上から,スポットライトが光を投げかけています。床や壁には光と影が映し出されています。とてもシックな雰囲気の空間になっています。夕方,薄暗くなってから廊下や階段を通るこどもたちや保護者にとって,心を穏やかにするとともに,花の美しさをひときわ感じることのできる空間となっているでしょう。
右の写真は,園庭に置かれたランプです。夕方薄暗くなっても園庭で遊ぶこの園では,夕方になるとランプに火を入れてろうそくをともし,夕闇を楽しみながら時間を過ごします。日中いっぱいに遊んで火照った身体と心を夜に向けてゆっくりと鎮めていく,素敵な時間です。
この園では,クロークルーム(荷物や上着をおく準備の部屋で,保育室の続きで別の部屋として用意されている)にソファがあり,その上にペンダントライトが下がっています。ライトを点けると,ソファが他の場所から浮き上がって別の場所ができたようで,こどもと保育者が集団を離れて静かにお話をしたり,こどもと保護者が座って時間を過ごしたりと,落ち着いた特別な場所が演出されています。
この写真は上と同じ園ですが,3〜5歳児の部屋の一角にあるソファのスペースです。絵本が置かれ,お話を読んだり,読み聞かせをする場所になっています。部屋全体を明るくする天井のシーリングライトを消すと,ソファには壁に取り付けられたサイドスポットライトがあたり,お話に集中できる場となります。