58.立体的な空間の体験

(むくの木園)

立体的な空間とは,たとえば吹き抜けや中二階,ロフト,視野が拡がる階段などがあって,空間が2層・3層になっている空間,それが感じられる空間を指します。通所施設やご家庭では,平面的な拡がりはあっても,立体的な空間を体験しにくいことが少なくありません。

園庭などの屋外空間では,ジャングルジムや滑り台など高さのある遊具が置かれていることが多いのですが,屋内空間,つまり一定の制限のある空間(大きさが限定された空間)のなかで立体的な空間を体験できると,三次元の「空間」というものを理解するきっかけとなりやすいと言えます。例えば園庭で,ジャングルジムに登って周囲を見回しても,その向こう側の境界が茫漠としているので,「空間」は把握しにくいのです。

三次元立体としての空間を体験することは,空間と自分の身体の把握を促します。また立体的な空間では,全身を使って移動したり遊んだりすることができるので,身体づくりにもつながります。また,高所という概念の獲得は,(??)危険の感覚の醸成とも関係します。「高いところから不用意に落ちると痛い思いをする」ということを理解することが,安全につながります。

就学前通所施設ではよく遊戯室で巧技台(写真)を用いて身体の基本的な動きや身体感覚を養う活動をしていますが,こうした巧技台での活動もまた立体的な空間体験の機会です。