42.育ち合いの仕組み

経験や身体の大きさ,能力など「自分と違う」人との関わりを楽しみ,喜ぶ態度は,社会でのコミュニケーションの土台となります。こどもたちはお互いにとって,大人とは違って自分の思いを先回りして察してくれたり,気持ちが充分に伝わらなかったりする「思い通りにならない他者」です。さらに異年齢のこどもは同年齢のこどもに比べて,発達段階にもより差異がある「異なる他者」でもあります。

それでも日常的な関わりの中で,大きいこどもは小さいこどもの面倒をみたり,物事を教えたりするなかで年長者の役割を果たすことを喜びますし,こうした経験は自己肯定感につながります。小さいこどもは自分にできないことができる年上のこどもと一緒に過ごすことを楽しみます。日々の生活のなかにそのような育ち合いの仕組みがあることが,こどもたちが関わり合いを当たり前だと思う態度を育てていく土壌となるため,こどもたちにとって大切な環境だと言えます。

写真の園では,ランチルームがあり,異年齢が混ざり合って食事をしており,異年齢が自然に楽しく交流できる仕組みとなっています。