45.集団のなかでの個の尊重

就学や,その先の社会参画へのつながりに向けて、集団での活動ができ、それを楽しめることは大切なことです。一方で、それぞれが独立した個であり、それぞれの考えをもっていることを理解し、それを尊重できることも、安定した自我と他者との関係の形成に向けた大きな課題となります。

集団の中で、個が尊重されるためには、まずは一人、あるいはごく少人数でいられることが大切です。一人でいられる場所があること、一人でいるようにデザインされた場所があることは、一人という活動単位を自然に促し、またそれが他者の目から見ても自然に写ります。「一人でいること」は、時には当然のことなのだ、としてこどもや保育者が受け入れられる環境設定は、個別の活動や滞在、個が尊重される土壌づくりをサポートします。

②気持ちの切り替え空間]や[③小さな居場所]なども参照してください。集団とつかず離れずの距離で、こどもが一人やごく少人数の集団でもいられる環境づくりは、こどもたちの発達や心のあり様、あるいはその時々の気持ちの状態の多様性をそのまま認め、受け止める土壌となります。

写真は放課後等デイサービス事業所の例ですが,ワンフロアの一隅にソフェやクッションを置き,一人や少人数で落ち着ける空間をつくっています。メインとなる活動空間を見通せる距離にあるため,一人でいても他の児童の活動を感じることができます。