31.自国の文化を知り,親しむ

自国の文化を知り,親しむことは母国やその歴史への愛着を育み,自己肯定感や国や郷土を愛する気持ちを育てます。それは,アイデンティティの一部として自国を客観的に語る視点や能力に結びついていきます。このような視点は,国際化の進む今日であればこそ必要とされる姿勢や能力のひとつと言えます。

 

写真は保育園での事例ですが,江戸時代の古民家を保育園として再生した園の居間空間です。いかにも和風の空間で,厳かさと落ち着きが渾然一体となった雰囲気をもっています。このような空間は,いまはご家庭でも珍しいでしょうから,ここでの生活はこどもにとっては非常に貴重な体験となるでしょう。

日本文化をこどもたちに伝えるために,和室を園に設ける園も少なからずあります。和室を設けるまでのことでなくとも,遊びのゾーンのひとつには畳を敷いてみるといった工夫だけでも,フローリングやリノリウム,絨毯とは異なる空間性を味わうことができますし,クッション性や保温性があるため,肢体不自由のこどもでも快適に過ごすことができます。

ただ,本畳の場合は,液体汚れの掃除のしやすさが難しいという懸念もあります。最近では,撥水性の高い特殊素材や加工を用いた畳製品も販売されています。