3.小さな居場所

障がいの有無に関係なく,多くの人が,自分の身体の大きさに合った小さな場所にいるとき,守られている感覚をもったり,落ち着いた気持ちで過ごすことができます。こどもたちにとって,身体が包み込まれ,守られている感覚で過ごすことができる場所は,情緒を安定させてくれる存在です。そうした場所でこどもたちは,自分1人になって気持ちを整理したり,複数人で空想の世界に遊ぶこともあるでしょう。

ご家庭でも,こどもたちはしばしば,押し入れや机の下など小さな場所を見つけて潜り込むことを好みます。さらに,多くの就学前通所施設では,こどもは自分の家庭での部屋のサイズよりも大きな「保育室」や「園庭」のなかで,こどもたちの集団のなかで,自分の居場所を見つける必要があります。常に広い場所にいることや,集団のなかにいることを強制されることは,わたしたちがそうであるのと同様に,多くのこどもたちにとってストレスになります。

アルコーヴやデンと呼ばれる,潜り込める小さな空間は,こどもたちにとってとても大切な空間です。そして,そうした場所はちょっとした工夫でもつくることができます。例えば写真の園では,段ボールと布とマットを用いて小さな基地をつくっています。中に入り,上を見上げるとまるで夜空のもとにいるように星が輝く空間が広がります。