21.命を感じ,親しむ

身近に動植物がいない環境ではこどもが成長過程で命を実感として理解できず,それがために近年のこどもが他者を傷つけたり,他者に愛情をもてないという問題が生じているのではないかという言説を目に耳にするようになって久しいかと思います。身近に動植物がいないから・他者の痛みを分かち合えないこどもになる,という単純な因果関係があるとは思いませんが,ひとつの危機感の表れである,と考えることはできそうです。

命を感じ,命に親しむことはこどもたちの感性や心情を豊かにしますし,生き物の世話を通して,自尊心,自己肯定感,役割意識,役/仕事をもつことでの仲間うちでの敬意を得ることができた,という例があります。またこのような経験を通して,命に責任を持つことを学ぶこともできるでしょう。

写真の園では,廊下のコーナー部分に虫かごと金魚が入った水槽を置いており,肢体不自由の車いすに乗ったこどもでも中を覗き込むことができます。