12.日常的に美に触れる

こどもたちの発想は無限と言われますが,同時にこどもたちの感性や想像力は,身の回りの環境によってつくられていく部分も多分にあります。アニメやマンガ,テーマパークなどのキャラクターはこどもたちにとってなじみやすいデザインがされており,親しみをおぼえやすいものです。デフォルメされた動物や植物は記号として認知しやすく,覚えやすい特性をもっています。しかし,感性や想像力がつくられる幼少期だからこそ,本当に美しいものに日常的に触れられる機会を用意したいものです。「美しいもの」は,絵画や造形物,あるいは自然のすがたや,光や音,風,それらのうつろいゆく様子,衣類の色から道ばたの小石に至るまで,本来はごく当たり前にこどもたちの生活を彩っているものたちです。

こどもたちが日常生活のなかの美に気づけるよう,物理的な環境をつくるとともに,保育者や保護者が声かけをしたり,一緒に時間を味わう機会をもったりしたいものです。

写真は障がい者の通所施設の事例ですが,廊下の様々な場所で,利用者の目線の高さに,穏やかな色調で描かれた絵を飾っています。白地の内装とも調和して,穏やかで家庭的な雰囲気を作り出しています。