刺激のコントロール
こどもたちは常日頃から,保育者や友達などの人的刺激,部屋の家具やおもちゃなどの物的刺激など,様々な刺激の中で活動しています。その刺激の捉え方は一人ひとり異なり,とりわけ感覚過敏や注意欠陥などの特性のあるこどもたちにとっては,他のこどもが気にならないような刺激であっても過度に気になり,活動に支障をきたしたり,パニックになってしまったりすることがあります。
「こどもの成長・発達」のための環境づくりとは,「刺激」となる様々な要素を活動の中に取り込むことでこどもの成長や発達を促すという側面もあります。同時に,「こどもの成長・発達」にはこうした刺激が大切な反面,こどもの障がいの特性や状況に応じて「刺激」の量や与え方をコントロールすることも重要です(*)。本来は、このような配慮は障がいの有無によらず,こども一人ひとりの興味関心や特性,そのときどきの課題に応じてなされるべきものとも言えます。
写真の園では,保育室に前室を設けることで,こどもが雑多な環境から離れて活動できるようにしています。また前室を棚によって仕切ることで閉鎖的になりすぎないようにしています。このように刺激を取り除き,落ち着ける空間を演出することで危険なこだわりの誘発をなくし、活動に集中できるように配慮しています。
*古賀政好・山田あすか『幼児・学齢期の障碍児の活動場面の成立に影響する環境構成要素の分析』,日本建築学会建築系論文集,2016.03