特に移動能力の獲得は,乳児期の身体能力の成長・発達において重要な課題とされています。ほふく,伝い歩き,歩行・・と,のびのびと身体を動かすことでこどもは次第に移動能力を獲得し,探索行動に結びついていきます。こうしたことが自発的な意欲を増し,他者との関わり要求の表現や距離感の選択など社会性の成長・発達の端緒ともなります.
 また適度に身体を動かすことで良質な睡眠をとりやすくなり,生活リズムや情緒の安定にもつながります.ベビーカーや立ち乗りバギーなどでの外出も,座位や立位の保持の機会としても有効であると同時に,様々なものを見聞きし季節の光や風や気候に触れ,地域との関係を育む契機ともなります.

■「座る」を支える

保育や子育てのなかでは座る姿勢をとる機会を意識的に設け,座位保持ができるように身体をつくっていきます.乳児の場合には一般に,食事や遊びのためのいすや机は身体を支えられ安全性が高い家具を選びます.

家具の工夫では,座位が安定したあとも足の高さを合わせ,姿勢よく,食事や遊びに集中できるよう工夫する例があります.

26.「自分で」を支える]でも紹介している,椅子のカスタマイズの工夫例です。

歩き出す時期の前に充分にほふくをすることが,背筋などを鍛えスムーズで安定的な立位と歩行,また健やかな身体づくりに役立つことが知られています.そのため建築的には,畳敷きなど反発がありつつ,転倒時の衝撃を和らげられる仕上げがされた充分なほふくスペースを設ける例が多く見られます.


■ のぼる,おりる,乗る

 ほふくで段差を超えたり,スロープをのぼることもこどもたちは喜びます.

ホールと保育室が近接した上の写真の例では,ホールでの動的な遊びを日常的に行っています。ホールに面した,階段の下が倉庫になっており,様々な遊具を置いておけ,簡単に取り出せることが日常的なホールの活用を支えています。

さらに,ホールと保育室をつなぐ廊下も動的な活動の場とすることで,こどもたちが身体を動かし身体能力を伸ばす機会を積極的に設けています.

この園では乳児の保育スペースにのぼる・下りる動作を誘う設えが常時あり,こどもたちが意欲的に身体を動かす機会がつねに提供されています.


■ 潜り込む

 こどもは,小さな空間や狭隘なスペースに潜り込むことも好みます.

このこどもは,家具とカーテンの隙間に入り込んで,他者からの関わりを待っています.移動能力を獲得し,場所を介して他者と関わりはじめるこの段階では,段ボールなどで囲われた場所,押し入れやベッドの下などの空間が行きたいというこどもの意欲を刺激し,移動を誘います.

情緒の安定
1.登園時の期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.小さな居場所
4.くつろいだ雰囲気
5.延長保育スペースでの配慮
豊かな感性
6.「触」覚のある環境
7.遊びのなかの触覚
8.全身で感じる遊び
9.においの体験
10.風と気づき
11.光の体験
12.日常的に美に触れる
豊かな心情
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
19.自然に親しむ
20.季節を感じ,楽しむ
21.命を感じ,親しむ
 
創造性の芽生え
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
16.物語が編み込まれた環境
17.遊び込める仕掛け
18.見立てを誘う環境
豊かな言葉
35.文字や数字がある環境
36.知識や物語の泉に触れる
37.読み聞かせの演出
38.ショウ&テルの機会
思考力
30.伝統文化を遊ぶ
31.自国の文化を知り,親しむ
32.多様性を体感する
33.電子メディアとの適切な距離感
34.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
50.「基地」空間
51.アフォーダンスの演出
52.遊びの可視化
53.遊びの保存
54.片付けのための工夫
55.遊びの場の保障
56.集中して遊べる空間
自立と自律
22.時間の可視化
23.日課の可視化
24.音で場面や行為を知る
25.流れをデザインする
26.「自分で」を支える
27.着脱の自立への配慮
28.排泄の自立への配慮
29.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
38.ショウ&テルの機会
39.仲間の共有
40.保育単位の連携と柔軟性
41.交流の拡がりを誘う空間
42.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
42.育ち合いの仕組み
46.命の祝福
47.自己の成長の確認
48.生活の振り返りの機会
49.作品の展示
他者大切にする心
協調性
 
43.協働の達成感と喜び
44.集団活動の機会
45.集団のなかでの個の尊重
 
空間把握と身体の把握
57.拡がりのある空間の体験
58.立体的な空間の体験
59.俯瞰する体験
60.安全と危険の感覚
しなやかで健康な身体
61.日常的に身体を動かせる
乳児の環境
62.全身を使って遊べる幼児の環境
63.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
64.調理との関わり
65.食べ物を知る
66.食べ物を育てる体験
 
家庭地域との連携
67.地域の文化と伝統に親しむ
68.地域との関係をつくる
69.保育の時間の共有
70.保護者とつくる環境
71.保護者の活動支援
72.保護者同士の関係をつくる