51.アフォーダンスの演出]では、身体的な行為や行動、動作の誘発について説明しています。さらにここでは、「思わず〜したくなる」という環境による誘発を、心理的な面について説明します。
 目に見えているもの、聞こえるもの、香りなども含めて環境からの情報は、行為・行動や興味関心を刺激します。例えばおもちゃがしまわれていると、そのおもちゃで遊びたい、という気持ちは、今までの記憶のなかにあるそのおもちゃの存在や経験に基づいてのみ発現します。しかし、そのおもちゃが目に見える、手に届く場所に置かれている場合には、そのおもちゃで遊んだことのないこどもでも、あるいは今までそのおもちゃのことを思い出しもしなかったこどもでも、それで遊びたい、さわりたい、という気持ちをもちます。このように,遊びが見えていることでこどもたちの意欲や,主体性が育ちます。
 また,自分で遊びを見いだし,展開していくことで,思考力や豊かな感性、豊かな心情が育まれていくことでしょう。

小さい部屋全体が,ままごとやごっこ遊びのスペースとしてつくられています。部屋と遊びの内容が対応しており,遊びに集中できる環境となっています。また,お世話遊びと着替え遊び,ままごと遊びなどの関連する遊びがひとつの部屋にゾーニングされていることで,遊びの発展が支援されています。

遊びの可視化は,囲われた感じとイコールではありません。ここでは,テーブルに平仮名の表が置かれ,はがきの見本と,ペンが一緒に置かれています。席について,表を見ながらお手紙書き(ごっこ)をするゾーンとしてつくられています。もちろん,お手紙を書くという遊びを通して,文字や言葉の練習をしているのですが,こどもたちにとってはあくまでも楽しい遊びのゾーンです。

遊びの可視化が、遊びを誘うことに有効であるように、遊びを「見えなくする」ことは、気持ちが散じてしまうことを防ぎます。


(ののはな教室)

こちらは、自閉症児を中心とした障がい児の通所施設の写真です。自由に遊ぶ時間には、色とりどりのおもちゃが見えるように環境が設定され、こどもたちの興味関心や遊びを誘います。


(ののはな教室)

しかし、集団指導などの、指導者や保護者との活動に集中してほしいときには、本棚を反転させて本が見えないようにする、遊具の常置スペースとの間のボックスカーテンを引いて遊具が見えないようにする、などの配慮をしています。
 この刺激のコントロールによって、場面の切り替えを環境を通じて視覚的にも伝えることができ、こどもたちが時間ごとの活動にスムーズに入れるようになります。
 こうした工夫は例えば工作遊びのゾーンなど,こどもだけで使うには危険もある道具が置かれたゾーンなどで,そのゾーンを使わないときには棚にカーテンを引き,自由に使って良い時間帯だけ棚をオープンにしておくなどの活用方法も考えられます。見える棚に鍵を掛けておいたり,いつも見えない棚にしまっておいたりするよりもずっと,こどもたち自身に,いま何が許されていて何をしてはいけないかを考えさせるとともに,こどもたちにとってその判断や自己制御の訓練になります。

情緒の安定
1.登園時の期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.小さな居場所
4.くつろいだ雰囲気
5.延長保育スペースでの配慮
豊かな感性
6.「触」覚のある環境
7.遊びのなかの触覚
8.全身で感じる遊び
9.においの体験
10.風と気づき
11.光の体験
12.日常的に美に触れる
豊かな心情
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
19.自然に親しむ
20.季節を感じ,楽しむ
21.命を感じ,親しむ
 
創造性の芽生え
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
16.物語が編み込まれた環境
17.遊び込める仕掛け
18.見立てを誘う環境
豊かな言葉
35.文字や数字がある環境
36.知識や物語の泉に触れる
37.読み聞かせの演出
38.ショウ&テルの機会
思考力
30.伝統文化を遊ぶ
31.自国の文化を知り,親しむ
32.多様性を体感する
33.電子メディアとの適切な距離感
34.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
50.「基地」空間
51.アフォーダンスの演出
52.遊びの可視化
53.遊びの保存
54.片付けのための工夫
55.遊びの場の保障
56.集中して遊べる空間
自立と自律
22.時間の可視化
23.日課の可視化
24.音で場面や行為を知る
25.流れをデザインする
26.「自分で」を支える
27.着脱の自立への配慮
28.排泄の自立への配慮
29.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
38.ショウ&テルの機会
39.仲間の共有
40.保育単位の連携と柔軟性
41.交流の拡がりを誘う空間
42.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
42.育ち合いの仕組み
46.命の祝福
47.自己の成長の確認
48.生活の振り返りの機会
49.作品の展示
他者大切にする心
協調性
 
43.協働の達成感と喜び
44.集団活動の機会
45.集団のなかでの個の尊重
 
空間把握と身体の把握
57.拡がりのある空間の体験
58.立体的な空間の体験
59.俯瞰する体験
60.安全と危険の感覚
しなやかで健康な身体
61.日常的に身体を動かせる
乳児の環境
62.全身を使って遊べる幼児の環境
63.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
64.調理との関わり
65.食べ物を知る
66.食べ物を育てる体験
 
家庭地域との連携
67.地域の文化と伝統に親しむ
68.地域との関係をつくる
69.保育の時間の共有
70.保護者とつくる環境
71.保護者の活動支援
72.保護者同士の関係をつくる