「延長(預かり)保育」の時間は,コアタイムよりもこどもの数が少なく,特に夕方から夜にかけての時間帯にはこどもの数が減っていき,こどもが寂しい思いをすることもあります.1人ひとりのこどもにとっては,全ての時間が大切な時間であり,「時間つぶし」の時間などないはずです.延長保育の時間を含め,全ての時間が充実することは,こどもの遊びや生活への意欲,情緒の安定,にもつながります.またこの時間帯の,小集団で,保育者と密着した,異年齢が混ざり合うという特徴を活かした保育は,こどもの創造力や感性を伸ばすでしょう.保育時間が長いことが「ラッキー」と思えるよう,空間や玩具,保育で特別な環境を演出したいものです.

延長保育の時間には,こどもの数が減るのに合わせて,だんだん保育集団と部屋を集約していくことが一般的です.最後には広い部屋にぽつんとこどもが遊んでいる,という風景にならないことが大切です。保育室が設えなどに分節されていると視覚的に,空間の広さに対するこどもの数,密度が低くなりすぎないよう調整することにも役立ちます.

保育室ごとの環境づくりを工夫しても,「みんなが居なくなった,いつもの部屋」という状況を寂しく感じる子もいます.がらりと雰囲気と気分を変え,生活にメリハリをつけるため,延長保育専用室を設ける場合もあります.この写真は,安心感や親密感,家庭的な雰囲気を大切にした延長保育専用室の例です.日中の保育室とは別の場所,集団,保育者との時間はこどもの多様な経験を担う一場面です.


(あけぼの幼稚園)

 この園では,日中過ごす園舎と別棟の建物の2階を延長保育室に使っています(1階は,園庭と一体になったピロティ空間).室は段差や家具で小さなスペースに分節されており,家庭的なスケール感です.ロフトスペースも設けられ,上り天井の天窓や低い位置に設けられた窓から園庭を眺められます.高低差がこどもたちの遊びを誘発し,またこどもたちがその日の気分や遊び内容に合わせて場所や遊び仲間を選んでいます.園に長時間いると,こんな楽しい場所で遊べる.そんな気持ちをつくる環境です.

情緒の安定
1.登園時の期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.小さな居場所
4.くつろいだ雰囲気
5.延長保育スペースでの配慮
豊かな感性
6.「触」覚のある環境
7.遊びのなかの触覚
8.全身で感じる遊び
9.においの体験
10.風と気づき
11.光の体験
12.日常的に美に触れる
豊かな心情
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
19.自然に親しむ
20.季節を感じ,楽しむ
21.命を感じ,親しむ
 
創造性の芽生え
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
16.物語が編み込まれた環境
17.遊び込める仕掛け
18.見立てを誘う環境
豊かな言葉
35.文字や数字がある環境
36.知識や物語の泉に触れる
37.読み聞かせの演出
38.ショウ&テルの機会
思考力
30.伝統文化を遊ぶ
31.自国の文化を知り,親しむ
32.多様性を体感する
33.電子メディアとの適切な距離感
34.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
50.「基地」空間
51.アフォーダンスの演出
52.遊びの可視化
53.遊びの保存
54.片付けのための工夫
55.遊びの場の保障
56.集中して遊べる空間
自立と自律
22.時間の可視化
23.日課の可視化
24.音で場面や行為を知る
25.流れをデザインする
26.「自分で」を支える
27.着脱の自立への配慮
28.排泄の自立への配慮
29.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
38.ショウ&テルの機会
39.仲間の共有
40.保育単位の連携と柔軟性
41.交流の拡がりを誘う空間
42.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
42.育ち合いの仕組み
46.命の祝福
47.自己の成長の確認
48.生活の振り返りの機会
49.作品の展示
他者大切にする心
協調性
 
43.協働の達成感と喜び
44.集団活動の機会
45.集団のなかでの個の尊重
 
空間把握と身体の把握
57.拡がりのある空間の体験
58.立体的な空間の体験
59.俯瞰する体験
60.安全と危険の感覚
しなやかで健康な身体
61.日常的に身体を動かせる
乳児の環境
62.全身を使って遊べる幼児の環境
63.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
64.調理との関わり
65.食べ物を知る
66.食べ物を育てる体験
 
家庭地域との連携
67.地域の文化と伝統に親しむ
68.地域との関係をつくる
69.保育の時間の共有
70.保護者とつくる環境
71.保護者の活動支援
72.保護者同士の関係をつくる