経験や身体の大きさ,能力など「自分と違う」人との関わりを楽しみ,喜ぶ態度は,社会でのコミュニケーション能力の土台となります。こどもたちは,お互いにとって,大人とは違って自分の思いを先回りして察してくれたり,気持ちが充分に伝わらなかったりする,「思い通りにならない他者」です。さらに異年齢のこどもは,同年齢のこどもに比べて,上述したような「異なる他者」でもあります。
 それでも日常的な関わりの中で,大きいこどもは小さいこどもの面倒をみたり,物事を教えたりするなかで年長者の役割を果たすことを喜びますし,小さいこどもは自分にできないことができる年上のこどもと一緒に過ごすことを楽しみます。日々の生活のなかにそのような育ち合いの仕組みがあることが,こどもたちが関わり合いを当たり前だと思う態度を育てますし,こどもたちにとって大切な環境だと言えます。

この園では,ホールをランチスペースとしても使い,異年齢が混ざり合って食事をしています。年下のこどもは年上のこどもの様子をみながらお箸の使い方を覚えたり,負けじとおかわりをしたりと,異年齢が自然に楽しく交流できる仕組みとなっています。


*園のご要望により、加工しない写真を掲載しています。

園庭での遊びでは,異年齢のこどもたちが混ざりあって遊ぶ場面がしばしば見られます。こうした遊びのなかで,遊びの文化が継承されたり,新しい遊び方が「発明」されたりしていきます。

延長保育の時間も,一般的に時間が遅くなってこどもたちが少なくなるとともに保育集団が統合されていき,必然的に異年齢のこどもたちが混在する遊びの時間となります。このような時間帯も,年少のこどもが年上のこどもの遊びを体験し,興味や関心を拡げていくきっかけとなります。年上のこどもにとっては,年下のこどもの面倒を見たり,彼らに配慮をするなかで年上の役割や振る舞い方を学ぶ機会になります。

保育集団の設定の際に,異年齢混在の保育集団をつくるケースもあります。

例えばこの園では,3〜5歳児を混合クラスとしています。このようなクラス編成では,年長らしいふるまいを意識したり,遊びの文化が継承されたりといった利点がしばしば報告されます。一方で,年長のこどもには我慢するシーンなどが増える部分もあります。この園では,年長だけで遊ぶ機会を設けるなど,気持ちを充分に発散できるようにも配慮しています。他に,年長児をたてて園内での役割意識を互いに醸成できるように,「年長児だけがいける特別な場所」を設けるなどの運営をしている園もあります。

情緒の安定
1.登園時の期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.小さな居場所
4.くつろいだ雰囲気
5.延長保育スペースでの配慮
豊かな感性
6.「触」覚のある環境
7.遊びのなかの触覚
8.全身で感じる遊び
9.においの体験
10.風と気づき
11.光の体験
12.日常的に美に触れる
豊かな心情
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
19.自然に親しむ
20.季節を感じ,楽しむ
21.命を感じ,親しむ
 
創造性の芽生え
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
16.物語が編み込まれた環境
17.遊び込める仕掛け
18.見立てを誘う環境
豊かな言葉
35.文字や数字がある環境
36.知識や物語の泉に触れる
37.読み聞かせの演出
38.ショウ&テルの機会
思考力
30.伝統文化を遊ぶ
31.自国の文化を知り,親しむ
32.多様性を体感する
33.電子メディアとの適切な距離感
34.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
50.「基地」空間
51.アフォーダンスの演出
52.遊びの可視化
53.遊びの保存
54.片付けのための工夫
55.遊びの場の保障
56.集中して遊べる空間
自立と自律
22.時間の可視化
23.日課の可視化
24.音で場面や行為を知る
25.流れをデザインする
26.「自分で」を支える
27.着脱の自立への配慮
28.排泄の自立への配慮
29.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
38.ショウ&テルの機会
39.仲間の共有
40.保育単位の連携と柔軟性
41.交流の拡がりを誘う空間
42.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
42.育ち合いの仕組み
46.命の祝福
47.自己の成長の確認
48.生活の振り返りの機会
49.作品の展示
他者大切にする心
協調性
 
43.協働の達成感と喜び
44.集団活動の機会
45.集団のなかでの個の尊重
 
空間把握と身体の把握
57.拡がりのある空間の体験
58.立体的な空間の体験
59.俯瞰する体験
60.安全と危険の感覚
しなやかで健康な身体
61.日常的に身体を動かせる
乳児の環境
62.全身を使って遊べる幼児の環境
63.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
64.調理との関わり
65.食べ物を知る
66.食べ物を育てる体験
 
家庭地域との連携
67.地域の文化と伝統に親しむ
68.地域との関係をつくる
69.保育の時間の共有
70.保護者とつくる環境
71.保護者の活動支援
72.保護者同士の関係をつくる