「遊ぶ」集団をどのように設定するかは,こどもたちどうしの関係や,遊びの内容にも影響します.年齢ごとに保育単位(クラス)をつくって,そのクラスごとに遊びや遊び場所を組み立てる園が多いですが,異年齢合同クラスや縦割りクラスによる育ち合い(12参照)を重視する例もあります.このように保育単位そのものを多様な属性の集団とすることや,設定した保育単位どうしが連携して遊びや遊びの場を組み立てること,または保育単位が柔軟であることは,こどもたちの創造力や自発的な遊びを誘発し,豊かな感性を育みます.また交流の拡がりのなかで協調性や思いやり,上の年齢のこどもとの遊びのなかで運動能力を身につける契機となります.

■ 保育室の連携
 「クラス」ごとに,「保育室」を設ける事例は多く見られます.廊下に面して保育室が並び,保育室どうしに直接行き来する動線がなく,活動の単位である「クラス」と活動の場である「保育室」とが一致していると,こどもたちにとって安定的な活動の場が保障されるメリットがあります.しかし,年間を通して一致し続ける必要は必ずしもありません.

この図は,短/長時間児,短/長期間児*が混在するこども園の4歳クラスで,季節によって保育室での活動の様子の変化を示しています.この例では,年度当初はクラスという安定した単位で,保育室で固定的に活動を行うことでこどもたちどうしの「なじみ」や就園したばかりのこどもの園生活への「なじみ」を促します.そしてこどもたちがお互いと園生活に充分なじんだ秋には,4歳児2クラスの保育室の間の扉を開放し,自由遊び時間には2つのクラスのこどもたちが互いに自由に行き来して遊び仲間を拡大したり,2つの保育室のなかで自分の遊びや遊び場を発見・選択したりできるようになります.こどもたちが自分たちが帰属する集団を認識した上で,さらに世界の拡がりを体験できるよう,保育のあり方が考えられている例といえます.

建築的には,2つの保育室間に扉が設置されていることがこうした連携のあり方を支えているといえます.
 複数の保育室の境界が可動間仕切りとなっている例はしばしば見られ,このように保育設定と連携して活用されると利点を発揮できます.また廊下等接続空間に対して開放的な保育室であっても,廊下等を介して複数の保育室・保育集団が連携しやすいといえます.


■ ホール等での活動単位の連携

保育室を一体的・連続的に使うだけではなく,ホールや遊戯室を活用して保育単位の連携を図ることもできます.この園では,遊戯室と遊戯室前のホールを活用することで,学年合同での保育を日常的に行っています.これによって,保育単位(クラス)を超えた遊び仲間の形成や遊び内容の発展が起こっています.

また2クラス分の保育スペースを,保育室2室ではなく小空間+大空間として確保することで,保育単位ごとの活動拠点をとりつつ,保育単位が連携した活動や動的活動や遊具・玩具を用いた大面積での活動などがしやすくなります.

■ 保育単位の柔軟性

複数の学年クラスや異年齢クラスなど複数の保育単位合同での保育実施などの保育単位の柔軟性は,こどもたちにより大集団のなかでの遊び相手の選択を保障しますし,多様な遊び場面につながります.また保育単位も年度で固定されている必要は必ずしもありません.例えば北欧では「年度」ではなくこども1人ひとりの「年齢」や発達を基準にしてこどもがどのクラスで過ごすかを決めており,低/高年齢児2クラスの設定であれば,3歳の誕生日に前後して本人と家族と相談した上で低年齢児クラスから高年齢児クラスに移ります.

*短時間児:従来の幼稚園児のように,9~14時等短時間在園するこども.長時間児:従来の保育園児のように,7時半~19時等長時間在園するこども.短期間児:従来の幼稚園児のように,3~5歳で就園するこども.長期間児:従来の保育園児のように,0~2歳で就園するこども.

情緒の安定
1.登園時の期待感
2.気持ちの切り替え空間
3.小さな居場所
4.くつろいだ雰囲気
5.延長保育スペースでの配慮
豊かな感性
6.「触」覚のある環境
7.遊びのなかの触覚
8.全身で感じる遊び
9.においの体験
10.風と気づき
11.光の体験
12.日常的に美に触れる
豊かな心情
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
自然と生命への
畏敬と愛情
 
19.自然に親しむ
20.季節を感じ,楽しむ
21.命を感じ,親しむ
 
創造性の芽生え
13.「演じ」て理解する
14.表現する−音楽
15.表現する−絵画,造形
16.物語が編み込まれた環境
17.遊び込める仕掛け
18.見立てを誘う環境
豊かな言葉
35.文字や数字がある環境
36.知識や物語の泉に触れる
37.読み聞かせの演出
38.ショウ&テルの機会
思考力
30.伝統文化を遊ぶ
31.自国の文化を知り,親しむ
32.多様性を体感する
33.電子メディアとの適切な距離感
34.「不思議」,科学の目の芽生え
自主性・主体性・意欲
50.「基地」空間
51.アフォーダンスの演出
52.遊びの可視化
53.遊びの保存
54.片付けのための工夫
55.遊びの場の保障
56.集中して遊べる空間
自立と自律
22.時間の可視化
23.日課の可視化
24.音で場面や行為を知る
25.流れをデザインする
26.「自分で」を支える
27.着脱の自立への配慮
28.排泄の自立への配慮
29.身近な手洗い場
 
関わる
喜んで話したり
聞いたりする態度
 
38.ショウ&テルの機会
39.仲間の共有
40.保育単位の連携と柔軟性
41.交流の拡がりを誘う空間
42.育ち合いの仕組み
人に対する愛情と信頼感
42.育ち合いの仕組み
46.命の祝福
47.自己の成長の確認
48.生活の振り返りの機会
49.作品の展示
他者大切にする心
協調性
 
43.協働の達成感と喜び
44.集団活動の機会
45.集団のなかでの個の尊重
 
空間把握と身体の把握
57.拡がりのある空間の体験
58.立体的な空間の体験
59.俯瞰する体験
60.安全と危険の感覚
しなやかで健康な身体
61.日常的に身体を動かせる
乳児の環境
62.全身を使って遊べる幼児の環境
63.午睡や休憩での配慮
食への興味と関心
64.調理との関わり
65.食べ物を知る
66.食べ物を育てる体験
 
家庭地域との連携
67.地域の文化と伝統に親しむ
68.地域との関係をつくる
69.保育の時間の共有
70.保護者とつくる環境
71.保護者の活動支援
72.保護者同士の関係をつくる